2016年12月12日

主治医

 430セドリックって30年以上前のクルマなので、確かに旧車ではあるんですが、「旧車」ってハコスカとかケンメリとか510ブルーバードとかであって、なんかこの430とかスカイラインでいうとジャパンとかオニクラとか70マークIIとか、そのあたりって「旧車」というイメージがあんまりないんですよ。
 セドリックでいうと330なんかは旧車だなあって感じがするんですが、430はそんな感じがしない。自分が生まれた年にもかかわってきてるのかもしれませんけどね。平成生まれの人からしたらY32だって旧車でしょうし。
 でも実際、いわゆる「旧車」が雑誌で云うと『オールドタイマー』あたりで扱われるようなものだとして、『ハチマルヒーロー』とかで扱われるような、それこそ430セドリックみたいなとこって「ネオヒストリック」みたいな分け方をされたりしますね。

 なので、そのいわゆる旧車と比べたら、80年代のネオヒス車ってのはイマドキのクルマに近い感じで乗ることもできます。
 旧車はたとえばキャブだったりすれば、まず寒い日はエンジンかけるのも大変だし、キャブの定期的なメンテナンスも必要だし……みたいな、コンピュータに頼らない機械そのものに対しての知識と対策が必要になります。点火系についてもポイントの調整とかね。
 電装系もいまのクルマと比べたら比較にならないくらい弱いので、うかつにオーディオだのナビだのETCだのつけることもできません。
 このあたりの世代は普通のディーラのほとんどは手出しができないところで、旧車の専門店でないと触ることすらできないケースが多いです。
 逆にそれこそハコスカやケンメリなんかの人気車種であれば、純正部品はなくても社外の部品がいっぱいあるので、修理代は結果的に高くはつきますがけっこう扱える工場も多いのも特徴でしょうか。逆に人気車種と互換性がない不人気車種だとどうにもならないくらい苦労するというのも事実ではありますが。
 その場合、いまついている部品を修理して使うことになるんですが、コンピュータではなく機械なので、実際に修理ができることも多くあります。

 80年代に入ってくると、上級車を中心に燃料噴射がインジェクションになり、点火もフルトランジスタになり、エンジンもコンピュータで制御されるようになって、故障診断もできるようになったりしてきて、ここまでくれば普通のディーラでも見られることも多くなってきます。
 インジェクターやコンピュータなど電気を使う装備も多くなってくるので、限りなくメンテナンスフリーに近くなり、オルタネータ(発電機ですね)の容量も大きくなり、ナビやETCをつけてもオルタネータがちゃんと機能さえしてくれれば問題なく動いてくれます。
 ただし逆に素人整備ではどうにもならなくなってくることもあって、たとえばキャブ時代ならキャブをバラして清掃したりできますが、イマドキのクルマではそういうわけにはいきません。修理というよりも壊れた部品をそっくり交換するASSYが通常の対処になってくるので、壊れて部品がなければお手上げになることも多いです。

 そして、430の世代は、まさにその過渡期です。
 排気ガス浄化システムの完成度が上がってきて、インジェクションで燃料は吹いているんですが、ECUを使わずにキャブレターのシステムを簡単なコンピュータとインジェクターに置き換えているだけに近いので、キャブレターのようなデリケートさはないものの、フルコンピュータのようなまったく手がつけられない感じではありません。
 ……逆に云えば、キャブのように素人ではある程度メンテすらできず、ディーラでは故障診断ができないので見られず部品の修理もできないという、いちばん厄介な世代でもあるわけです。

 というわけで、いろいろ資料を揃えて触ってはみるんですが、たとえばエアフロが悪いのかコンピュータが悪いのかみたいなのが、機械的なものだったら外してバラして清掃して組み直すとかができるのにそれもできず、コンピュータ診断で「エアフロが壊れています」みたいなことが一発でわかるシステムがあるでもなく、総当たりでやっていくしかないわけで、どっから手を付けていいかわからん、という車体なわけですね。
 実際には、当時はこれを診断する簡単なテスタがあったらしいんですけど、もはやそのテスタを持っている工場がないんだそうです。そりゃあそうだわな。

 そういうことになると、やはり主治医というか、専門家に見てもらう必要があるわけで、さてそれをどうしようか、というのがいま現状なわけです。
 とりあえず数店に見せていて、現状では、

1)日産ディーラーA
 近所でいちばん大きい、GT-Rを扱うハイパフォーマンスセンターだったりするようなところ。いまのところここがいちばん好き。エア吸いを見つけてくれたのもここだし、当時新車で430を売っていた頃に入社した工場長という人が出てきていろいろアドバイスをしてくれたりとか。「ちょっと前までどこの店に行ってもL型のパーツいっぱいあったんですけどねえ」と懐かしそうに云ってて趣深い。他の同業者のミスを見つけても悪口を云わないのがとても素敵。いろいろ面倒なことをお願いしているのに引き受けてくれる。ただ、ディーラーなのでやっぱり部品が出ないとお手上げになってしまうのが痛い。ただ、「どうしてもない場合は液体ガスケットで埋めるとか対策するしかないかも」みたいな、ないならないなりの対策をしてくれそうなのはけっこう頼りになる気がする。

2)日産ディーラーB
 A店に比べたら店は小さいけど、うたい文句としては「地元で40年以上整備をやってきた」とのことで、もしかしたらと思って持っていってみた……けど、「これだけ古いのだともう見られないので無理ですね」の一言で終了。別にこの店が悪いわけではなくてこれが普通のディーラの対応だと思います。

3)旧車もやってるという工場A
 ディーラーAの診断を「間違いなんじゃないかなあ」と疑っていたが、とりあえずの修理として入れた修理でオルタネータの固定ボルトを閉めつけが緩すぎて、あっというまに交換したばかりのベルトが緩むというなんともはや。肝心の故障については「症状が出ないので見当もつかない」とのことで終了。ただ、別にフォローするわけではないけれど、メールでのやりとりは丁寧だったし、「エア吸いだとするとガスケットを作ったりしてやるので時間と費用はかかる」みたいなことを云ってくれていたので、症状が出た状態で持ってけば相談には乗ってくれそうではある。実際工場にはけっこうマニアックな車種も置いてあったし、仕事も速かったのでそのへんでは信頼されてるんじゃないかなあとは思います。

4)旧車専門だという工場B
 とりあえず電話して「430なんだけどこれこれこういう症状が出ていて、日産の診断ではインマニからエア吸いが出ていて、修理をお願いできますか」という相談をしたところ、フレンドリーなHPとは裏腹のむっちゃ冷たい声で「ガスケットないんじゃ無理だな」で終了。そこをなんとかするのが旧車専門店ではないのか。部品がある旧車しか直さないのかいな。

5)旧車専門だという工場C
 ここはメールフォームから相談したら、わざわざ携帯電話に電話をかけてきてくれて、思い当たる原因など細かく相談にのってくれた。ジャパンや130Zなど同時期の車種の修理も頻繁にやっていてとても信頼できそう……なのだけど、さすがにそれだけあって人気があるらしく、来年の6月まで作業がいっぱいらしい。すげえな。

6)普通の自動車整備工場だが旧車も得意で「部品がないなら作ります」みたいなことが書いてある工場C
 メールフォームから症状と相談を送るも返事すらなし。メールフォームから「こういうメールが送られました」みたいな自分宛てのメールは帰ってきてるので届いてないことはないと思うんですが。気づいてないだけなのか無視されてるのか。まあ後者だとしても客を選ぶのも店の権利だから仕方ない。縁がなかったということで。

7)友人がクルマを預けてる小さい工場D
 店は小さくて古くて一見ヤバそうだけど、整備に携わっている人は実はレースとか交友関係ですごい過去を持ってるというパターンの店。友人のクルマを見に430で行って、調子悪いんですよ、と云ったら、どこが調子悪いのか見せてみろ、と云われてボンネットを開けた瞬間、音だけで「コレどっかからエア吸ってるだろ、ほらこことここ」と見抜いた神業に感動した。過去に430に乗ってたこともあり、サニーからハコスカ、ケンメリ、ジャパン、DR30、R32……とずーっとA型からL型、RBと日産のエンジンをいじってたとのこと。中でもL型をいじっていた時期がいちばん長いらしく、430のエンジンルームを見て「懐かしいなあ」を繰り返していた。決していやな感じに口が悪いわけではなく、ディーラみたいに丁寧ではないけどフレンドリーでほどよく気持ちいいし、何より実践で鍛えた腕は信頼性抜群。

 ……という、いまのところこの7つのお店と関わっているんですが、コレだけ見たらどう考えても7番だと思うでしょ? そいで半年後にまだどうにもなってなかったら5番かなみたいな。
 ところがこの7番のとこ、仕事はちゃんとしてるんだけど時間感覚がむっちゃアバウトで、二週間で上がる約束が半年かかった、みたいなケセラセラなとこでして。しかも置き場が外のヤードしかないので、あんまり長く外に置きっぱなしになると朽ち果てちゃうんじゃないかみたいな不安もないではない。いまどきのクルマなら防錆もしっかりしてるんだろうけど。
 ただ、今現在先方から「もし持ってくるならちゃんと見てやる」という連絡が来てるので、もう頼れるところもないし、なにより腕前は絶対的に信頼できるので、お願いできるならお願いしたいなと思ってるところ。

 これで直ればいいんだけどなあ。
 ほんとにとりあえず、普通に走れるようになってほしい。
posted by TAKAMI Yui at 19:47| Comment(0) | 430セドリック