2015年03月31日

ホンダ N-ONE Premium SSパッケージ

 実家で家族が使ってるクルマを買い替えまして、日曜日に納車。
 別の用事で実家に戻っていたので、はからずも納車日に居合わせることになりました。
 来た車種はこれ。

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 ホンダ N-ONEです。
 プレミアムという上級グレードで、ターボが付いてないヤツ。

 もともと実家で使っていたのは二代目ヴィッツ(SCP90)でして、これは発売された日に行って契約してずっと乗ってたモノです。
 そのころに比べると、家のクルマに何人もで乗ることも少なくなってきましたし、軽自動車にしたいというハナシはずっとあったんですが、ここにきて例の軽自動車税の増税。
 どうせ変えるなら税金の安いうちがよかろうということで、2月くらいから急に動き出した感じですね。

 最初はピクシスエポックになる予定だったんですよ。
 ヴィッツを購入したトヨタディーラで買うのがいちばん手っ取り早いから……っていうと、トヨタだとエポックとスペースしかない。
 実はその前はスペースで話が進んでて、しかしいくらなんでもムーヴコンテはさすがにもう基本設計が古すぎるんじゃないかなあ、と。
 で、エポックに決まりかけてたんですが、どうせ新しくするならもっといろいろ見たほうがいいんではないかというハナシになって、ここでようやくトヨタ以外をいろいろ見始めた感じですね。
 タントみたいなハイトワゴンはあんまり好みじゃないらしく、一時期はやっぱりエポックでいいんじゃないかなみたいなハナシで落ち着きかけてたんですけど、乗用車タイプならこんなんもあるよと出したN-ONEとハスラーが急浮上、結果N-ONEに……と実に波乱万丈です。

 イマドキの軽自動車ってぜんぜん安くなくて、これもナビだとかなんだとかいろいろ付いてるとはいえ、支払い額は160万円以上です。もういい加減、軽自動車=安いというイメージは捨てたほうがいいんではないかなと改めて思いますね。
 それこそヴィッツやフィットのようなコンパクトカーのほうがよっぽど安いです。
 維持費が安いとはいえ、普通車との差額を埋めるには相当長い間乗らないと、というレベルの差になりつつありますし。
「なんでこんな小さいクルマがこんなに高いんだ!」と思っていたんですが、よくよく考えてみれば、小さいところに普通車以上の機能性を盛り込もうとするとギミックや工夫が必要になるわけで、だからこそ普通車より高いのかもしれませんね。

 実際、車体が小さいことによる絶対的な狭さってのはどうにもなりません。
 なんですが、背が高いので頭上スペースがあり、それによって広々してる感じはありますし、足元もものすごく広いです。
 これはもう、小さい枠で工夫しなければならない軽自動車というモノに対してメーカが向き合ってきた結果なんでしょう。
 ただ、明らかに後部座席の座面の長さは不足気味です。これは長距離乗ると地味にきいてくるかも。
 ホンダのNシリーズの場合、フィットのように座面をハネ上げることができるので、これの影響もあるのかもしれませんが。

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 運転席は普通の軽自動車サイズというか、まあ、普通に使えて、特にゆったりもしてないけど狭くもない感じってんですか。
 ベンチシートなのでサイドスルーができる一方、シートのサポート性は皆無です。
 肘置きを出すことができますが、これを出してもまあそれなり。
 とはいえ、コーナーを攻めるような走行をしなければあんまり関係ないです。
 普段使いではこっちのほうが圧倒的に便利だし、狭さを感じないと思います。

 外から見た感じは、いわゆるネオレトロではあるものの、モチーフがあるけどそのモチーフをコピーしたわけではない感じがいいんではないかな。
 N360のリメイクということだそうですが、実際にN360の写真を並べてみてもまったく似てないんですよ。
 背が高いからっていうのもあると思いますが、そもそも根本的にグリルあたりのデザインがぜんぜんちがう。
「なんかN360とか初代ライフってこんな感じだったよなあ、それを今風に直すならこんな感じか」って、想像で線を引いたようなテーストってんですかね。
 結果として、ただの焼き直しではない、なんとなく新しい感じになったんじゃないかと。

 後ろから見ると、フロントに比べたらまだN360テーストがあるかな。
 N360ってよりも、昔の360cc時代の軽自動車っぽいってんですか。

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 おそらくテールランプをガーニッシュとかで横長デザインにするデザインではなく、さらに最近のハイトワゴンに多い縦に長くするんでもないからなんでしょう。
 それこそミライースとかのどちらかというと安価な軽自動車に多いデザインなんでしょうけど、このクルマはそのあたりがうまくデザインされてる感があります。
 実はこのクルマ、個人的にはこの後ろから見たデザインがいちばん気に入っています。

 運転してみると、1トンちかい車重にノンターボのエンジン、さらにスリップロスのあるCVTでどんなもんだと思っていたんですが、まあ、少なくとも街中を60キロくらいのペースで流すには十分です。
 ただ、やっぱり加速時や60キロ程度の巡航時にはかなりエンジンが唸りますし、俊敏に走るというイメージもありません。
 それなりに広い室内でゆったり移動する、という感じですね。
 ターボでも音がやかましいのはそんなに変わらないので、どうしてもターボが欲しいと思うときは高速道路の追い越しとか合流みたいな、一気に速度をのせるときくらいでしょう。

 N-ONEにはこのプレミアムの下にGというグレードがあって、実はそれでも内装等の装備面はそれほど大きくは違わないんですよ。
 なんですけど、このGグレードはフロントにスタビライザがつかないんですね。
 スタビライザはやっぱりあったほうがいいかな。

 装備面や内装なんかはほんとによくできてて、ぱっと見たら下手な高級車顔負けです。
 少なくとも一昔前のクラウンとかと比べたら、圧倒的にこっちのほうが高く見える(実際に高いかどうかは別として)んじゃないかな。

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 このメータ回りとか。
 CVTにタコメータが要るのかみたいなハナシはないではないですけど、まあそれはそれ。

 シフトレバー回りはこんな感じです。

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 CVTなので、Dレンジの下はLレンジしかありません。
 ターボモデルにはパドルシフトとSレンジが付きますが、必要あるかと云われるとよくわかりません。

 上の走行性能のハナシとちょっと関わってきますが、このCVTはけっこうよくできてます。
 もちろん構造的な問題として、アクセルとスピードとエンジンの回転数がバラバラな感じはどうしてもありますが、ヴィッツのそれと比べるとすごくましというか。
 踏んで加速するときのストレスはそんなにありません。
 全開時にはちょっともたつきますし、やはり回転数が先に行く感じはどうしてもありますが。

 エアコンなんかオートエアコンです。
 マニュアルエアコンでも困らないんでしょうけど、このあたりはさすがに高いだけある感じ。
 SSスペシャルなので、エンジンのオンオフに連動して動く電動格納ミラーが付いてます。

 そして、最近のクルマだなあと思ったのはここ。

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 ナビのオプションのUSBケーブルを付けたのですが、これがこんなところにビルトインされています。
 これにiPhoneとかをUSBケーブルでつなぐと、オーディオはちゃんと聴けますし、もちろん曲名やカバーアートも表示されます。
 ダッシュボード内にコードがぶら下がってるだけなのかと思ったんですが、このあたりはやっぱりちゃんとしてますね。
 USBソケットの左右のスイッチは、これまたSSパッケージでついてきたシートヒータ。
 ……なんでシートヒータ?
 冬場に暖房がきくまでは確かに便利だと思いますが、別にオープンカーとかじゃないし、あんまり使わない気がするなあ。

 3人くらいで乗って買い物に行くとか、あるいはちょっと遠出するみたいな乗り方をするんなら、もうこれで十分だなあと。
 ミライースみたいなクルマだと、どうしても「ちょっと遠出」が億劫になる(かわりに、近所の足としてはコスト面ではかなり優秀だと思います)かなあという印象でしたが、これならその「ちょっとドライブ」もこなせてしまうんじゃないかな。
 単に買い物の足としてだけ使うにはちょっと贅沢かも。

 しかしこのクルマで一番感動したのは、HIDライトの明るさ。
 純正HIDの能力が高いのは当たり前なのかもしれませんが、ハロゲンライトとは比べるべくもないのはもちろん、後付けHIDではやはりこの明るさは出せないでしょう。
 以前乗ってたBMWも純正HIDでしたが、これはまだ普及し始めた当初だってこともあったかそんなに劇的に明るいわけではなかったと思います。
 さすがに進化を感じますねえ。

 実家のクルマなんでわたしが乗ることはあんまりないと思いますが。
 最近の軽自動車は高い、というのがなんかわかる感じがあります。
posted by TAKAMI Yui at 16:41| Comment(0) | 試乗

2014年11月11日

トヨタ ランドクルーザー70 ピックアップ

 実際には乗ってないのですが、はじめて実車を見たので。
 たまたまオイル交換に立ち寄ったディーラに置いてあった、限定生産のランドクルーザー70です。

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 まず第一印象は……むっちゃくちゃカッコイイぞ、これ。
 最近見た新車のなかでは一番ときめきました。
 バンのほうはそれほど目新しいわけではないですが(まあ、昔70プラドが自分の家にあったから、というのもありますが)、このピックアップはほんとうにカッコイイ。
 まさに働くクルマ、気取って乗るんではなく、道具として徹底的に使う武骨なカッコよさ。
 オーストラリアの砂漠、アフリカの大地、中央アジアの未整備な道なき道なんかを、を道具や人を満載し、あるいはどこかの国ではリアに砲台を積んでテクニカルとして走り回る、その徹底してストイックな道具感。
 内装も外装も気取ったところはなにもありません。
 昔家にあったプラドはSUVブームのころのワゴンだったので、オーバーフェンダがあって太いタイヤを履いてましたが、これはそれよりも走行性能を追求したナローボディです。
 とにかく都会的なカッコよさを徹底的に捨てた「道具」。
 ピカピカに磨いてワックスかけて乗るんではなくて、泥にまみれた姿がいちばんサマになる感じ。
 メルセデスのGクラスあたりに近い思想ですが、これは高級車になってしまってここまでの武骨さはありません。ランドローバーディフェンダーあたりが近いですかね。
 働くためのクルマの飾らないカッコよさ。SUVとしての4WD車ではなかなかこの味は出せません(出そうとしたらおそらくまったくどうにもならないデザインになります)。

 ピックアップはこの後ろ姿がまたカッコイイです。

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 ハイラックスやダットラとかのピックアップだと、ボディと荷台が一体化していてそれはそれでスタイリッシュだし荷物は積みやすいんですが、このクルマは昔のジムトラと同じく前と後ろが別体なんですね。
 まあ、ハイラックスやダットラにも、商用グレードにはこういう別体のものがありましたが。
 このあたりもまた、すごく道具感があってよいです。

 ピックアップの最大積載量は600kg(バンは500kg)。
 荷台も狭いのでそんな大物は載りませんが、中型くらいのバイクなら乗るでしょう。
 荷台高が高いので乗せるのは大変でしょうけどね。
 遊びに使うんなら、外に出しておいてもかまわないようなものを積みっぱなしにしておいて、どこか行くってのはすごくよさそうです。

 ミッションはMTのみってのもいいです。最近のSUVはATしかないのも多いですから、MT派にはむしろ朗報。こんなクルマATで乗ってどうするってのもありますが。イージードライブしたければプラド乗れってことなんでしょう(逆に、ATじゃないとなあみたいな軽い気持ちで買ってしまって「失敗した」って人をはじくための試金石なのかもしれませんが)。

 唯一の欠点はエンジンが4リッターのガソリンエンジンしかないところですかね。
 GRだからクラウンなんかに載ってるエンジンと同じ系列でしょうか。このミッションを流用したクラウンのMT化改造なんかが増えそうな。
 燃費はカタログによればリッタあたり6キロだそうで、毎年の自動車税含めて維持費はけっこうかかりそう。しかもよりによってハイオク仕様ですし。
 ハイエースの3000ccディーゼルとか積んでくれればいいのになあ。こういうクルマはやっぱりトルク溢れるディーゼルでしょう。
 ガソリンエンジンで同じようなトルクを実現するなら大排気量ガソリンエンジンにせざるをえないというのもあったんでしょうが、やはり4リッタのハイオク仕様はちとやりすぎです。

 とはいえ、そんな欠点を帳消しにする魅力がこのクルマにはあります。
 わたしはDを買う前にはクロカン4WDを買おうと思っていた時期があって、パジェロとかを見に行ったりもしてたわけなんですがどうにもぴんとこないでやめてしまったわけなんで、時期が時期なら間違いなく買ってましたね。それくらい気に入ってます。
 360万円という値段は、ランドクルーザーに比べたら圧倒的に安いですが、プラドよりも10万円高い。
 とはいえ、ランドクルーザーと違って絶対的に無理!って金額じゃないわけですよ。だいたいパジェロだってそれくらいの金額でしたし。

 バンはリアシートがバンならではのぺらぺらの折りたたみシートで、これはこれでストイックなんですが、ピックアップはリアシートがそれなりにしっかりしていて、意外なことにピックアップのほうがちゃんと座れます。
 もちろんどちらも膝に余裕はありませんが、シートがよりしっかりしているぶん、4人で移動するならピックアップのほうが快適かもしれません。
 また、バンもピックアップも結局1ナンバになってしまい、高速道路が中型料金になってしまうので、室内の後部座席にも、濡れてもいいような大物は荷台に乗せておけばいいという便利さからすれば、これならもう買うなら圧倒的にピックアップですね。キャンピングシェルを乗せればキャンパーにもなるわけで。
 ピックアップがあったころのハイラックスやダットラは、クローズドのボディが5/3ナンバで2年車検+高速道路は普通車料金、ピックアップは1ナンバで毎年車検+高速道路が中型料金というピックアップ不利な要素があったわけですが、この70はピックアップにすることのネガ要素がほとんどないのがポイントです(ボディが長くて取り回しがバンよりしづらい、という物理的な問題はもちろんあります)。

 今までのピックアップトラックは、ハイラックスとかにしてもどこか都会っぽさを出そうとしているところがあったわけなんですが、これはそれがまったくなく、東京やニューヨークの都会のビルの中や、ロンドンやパリのおしゃれな街に佇んでいるイメージはまったくありません。上に書いたように、道なき道を泥だらけになって進んでいたり、武器を積んで砲弾飛び交う中を進んでいたりするイメージ。
 逆にそういう場所で愛用されているということで保証されている、圧倒的な耐久性と走破力が売りなわけですね。
 あんまりいい話ではないですが、それこそ内戦の続く国のニュースでこのクルマが機銃を積んで走っている映像なんかがテレビで流れていて、それが逆にそういう走破性や信頼性のイメージにつながっているという皮肉な話でもあるわけで(そしておおっぴらには云えませんが、おそらくトヨタもそういう宣伝効果を期待して今回の販売に至ったのかなあというところもないではないわけで)。

 いまSUVといって思い出される、ポルシェカイエンとかハリアーのような「都会的でおしゃれなSUV」ではありえない、こういった徹底的な道具感っていうのは、実際にその機能を使うかどうかは別にして、ものすごくカッコイイんではないかなと思うんですよ。
 もちろん、ときどきスキーに行くから4WDとか、雪が降るから4WDが必要ということなら、乗り心地や装備、燃費などハリアーの圧倒的勝利で、そのためにこの70を選んでしまうとかなり苦労すると思います。
 実際、日本国内でそんな道なき道を走れるとこなんてのはそんなにないわけで、このクルマが本領発揮できる場所なんてのはそれこそ専用のコース以外にありません。それはGT-Rみたいな高級スポーツカーがアクセルを全開にできる場所なんてサーキット以外ない、というのと同じです。

 ただ、イメージとして「働く4WD」が欲しいなら、 これを超えるクルマはそんなにありません。もちろん乗り心地や装備など我慢しなきゃいけないところは多々あるでしょうが、それこそスーパーカーを日本で乗るのと同じで、趣味としてのクルマなら、これはぜんぜんアリ。アリどころか、いますべてのクルマを押しのけていちばん欲しいクルマですねこれ。
 法規制の絡みもあるとはいえ、かえすがえすも限定販売なのがもったいないです。
 もうそろそろ受注締め切りというか、予定台数に達してしまいそうだそうなんで、欲しければお早めにですね。こんなクルマが新車で買えるなんてことはこの先そうそうないでしょうから。

 しかしまあ、間違いなく女の子にモテるとかいうタイプのクルマではないだろうな、これは。でもそれがいいんです。わかる人だけわかればよろしい、みたいな。
 スポーツカーとは違った方向性で、万人向けでないストイックさを究極まで追求したクルマということでは、86を発売したこと以上にトヨタとしてはとがったクルマなんではないかと思います。

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posted by TAKAMI Yui at 15:58| Comment(0) | 試乗

2014年07月15日

アルファロメオ Mito(1.4 コンペティツォーネ)

 イタリア・フランス車あたりを指して使う「イタフラ車」とか「ラテン車」というカテゴリは、ドイツ車やアメリカ車以上に趣味性が高いというか、「ちょっといい国産車を買うならドイツ車」とかいう思想ではなく、「やっぱりアルファだよな」みたいな、そこの指名買いになることが非常に多いのではないかと思います。
 イタリア車で日本に入ってきている代表的なものとしては、フェラーリやランボルギーニのような超高級車はともかく、フィアットとアルファロメオということになるでしょう。

 アルファロメオが現在正規輸入しているのは、4C・ジュリエッタ・Mitoです。
 4Cはスーパーカーなのでこれは除外するとして、あとはジュリエッタとMitoのみ。
 ともにいわゆるハッチバックタイプで、昔のようにオープン2シータやセダンなどのラインナップはなくなってしまったほか、昔は設定されていたMTの設定もなくなってしまいました。
 Mitoはその中で「小さいほう」ですね。
 アルファロメオらしい、見てすぐわかる個性的な顔つきは好みが分かれそうですが、ぱっと見てスポーティ感が伝わるという意味ではなかなかいいんではないかな。

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 今回乗ったのは、Mitoの上級グレードであるコンペティツォーネです。
 グレードはスプリント・コンペティツォーネの2つで、ボディタイプは2ドアのハッチバックのみ、エンジンも1.4リッタのターボのみで、グレードによる差は装備のみです。スプリントでも十分ですが、20万円高いコンペティツォーネにすると、しっとりとした本革シートや電動ミラー、パドルシフトなんかがついてくるので、無理がなければコンペティツォーネのほうがよさそう。
 ミッションはツインクラッチのTCTで、トルコンでもCVTでもない、限りなく機構がマニュアルミッションに近いやつですね。フォルクスワーゲンやポルシェなんかで有名なやつです。

 さて、知ってる人には今更ですが、このターボというのは昔のように過剰に出力を取り出すためのものではなく、欧州で低燃費のために使われる「ダウンサイジングターボ」というやつです。
 過給圧を上げて大出力を取り出すのがスポーツターボなら、これは少ないガソリンで過給機を利用することで結果的に燃料消費を押さえるシステムなわけですね。
 これがどういうものなんだろうってのは気になっていました。

 で、いざ乗ってみます。
 2ドア4シータなので、2人で乗るにはかなり広い感じ。
 国産コンパクトカーと違うのは、横幅に余裕があるので、二人で乗った時の狭苦しさがないことでしょうか。
 もちろんそれは街中でのとり回しとのトレードオフですから、必ずしもそれが正解ではないんですが、とはいえそんなとり回しに困るような幅ではないです。あたりまえですが。

 このMitoには走行モードを切り替えることができるスイッチがついており、ダイナミックモード、ノーマルモード、オールウェザーモードを走行中にも切り替えられます。
 ダイナミックモードはいわゆる「ハシリ」のモードで、アクセルレスポンスなども上がりますし、ステアリングの感覚も変わるし、パワーも上がります。
 通常はバランスがとれるノーマルモードで、オールウェザーモードは雨や雪など滑りやすい道で使うとのことなのですが、これにするとピークパワーを下げてトルクが上がり、横滑り防止装置などの電子制御の介入が多くなります。

 で、このクルマ、ノーマルモードだと正直「普通」です。
 実用に使うには十分で、踏んでいけばスピードは乗りますが、国産車とあまりかわりません(ただし、国産車のこのクラスはCVTが増えているので、CVTのもっさりした感じがない分キビキビした感じはあります)。
 ただし、足回りは比較的気持ちよくチューニングされているので、不快感もないかわりに狙ったところにスパッと曲がってくれます。
 あと、この本革シートがけっこうよくできていて、普通に座るとしっとりしてて座り心地がいいソファみたいなのに、いざ運転するとほどよく身体を包んでくれつつ、セミバケットシートのような窮屈さはありません。

 ところが、これを「ダイナミック」モードに変えると、クルマの性格が一変します。
 低速から過給が入り、低いギアでかなり引っ張るので、いわゆる昔のホットハッチの感覚。
 そこそこ車重があるので、じゃじゃ馬的ではなく、ミドルクラスのターボ車な感じでしょうか。
 引っ張っていくとかなり音も気持ち良くなるので、乗ってるほうも盛り上がります。
 ただし、そのぶん燃費はかなり落ちるでしょうから、普段からこれで乗ってるとダウンサイジングターボの燃費的なメリットはないかもしれません。

 結局、ダウンサイジングターボのメリットって、普段は燃費のためのターボでありながら、電子制御によってコントロールすれば、走りのターボにも変えられるってことなんですね。基本は同じターボなんだから、あとはコントロールするものによって違うだけの話です。
 パワーのある大排気量車というのはこれはこれで面白いですが、それこそ今乗ってるインプレッサがそうなように、踏んだら踏んだ以上にドンと一気にパワーが出るターボエンジンはまた違った魅力があります。
 おそらくハイブリッド車でも、それがターボチャージャかモータかが違うだけで同じようなことはできるんでしょうけど、さすがにそこまで過激なものは出てこないですね。
 このMitoは、ボディは小さいながら、そういう楽しみが味わえる数少ないクルマだと思います。
 クラッチのある5MTだったらもっと面白いだろうなあ。
 このTCTだと、とくにDモードでは勝手に引っ張ってくれるんで、ミッションを使ってクルマを動かしてる感じってのがなくなっちゃうんですよね。
 逆にAモードではちょっとかったるい感じですし。

 で、確かにこのクルマ、運転してて面白いんですが、操縦感というか、運転している感じというのは、同じFFでもやはりコペンのような本格的に割り切ったクルマには及びません。
 絶対的なパワーがないのは同じですが、遊べるスピードレンジというのが、コペンだと街乗りでも十分楽しめるパワーなのに対してもうちょっと上、それこそ山道とかに持っていくと楽しかったりするのかも。
 ただ、このクルマは、コペンと違って4人が乗れるし、荷物だってそれなりに積める「実用車」として使うことができるわけです。
 それでいながらこれだけ振りまわして遊べるというのはなかなか面白いですね。
 エコカーでありながら、決してエコだけを売りにしない、あくまでも「走れるエコカー」を目指したからこそできる思想だと思います。
 ま、欧州車なんでハイオク仕様になっちゃうのが痛いですが。

 ただ、このクルマ、コンペティツォーネで300万円近い値段がするわけですよ。
 それをどう思うかですよね。
 これだけ出せば国産車なら、コペンはもちろん86やBRZ、ロードスターだって買えてしまうわけで。
 昔に比べれば外車ってかなり安くなってきて、同クラスの国産車と値段でも張れるものもたくさんでてくる時代になりましたが、これはそういうところとは別次元にある気がします。
 だからまあ、最初に書いたように、「ラテン車はかわりがない、それを狙って買いに来るクルマ」なんでしょうね。
 これと何かを比較するという発想はそもそもないんでしょう。
 このカタチ、この性能がほしければ買う、というような。
 クルマが白物家電化していく中で、これはこれで重要なことだと思います。
posted by TAKAMI Yui at 20:45| Comment(0) | 試乗

2014年07月01日

日産 スカイライン(350GT HYBRID)

 街の中で、インフィニティのグリルをつけたクルマが走ってるのを見かけて、セルシオやハリアーについてるトヨタのエンブレムをレクサスにしたり、インテグラにアキュラのエンブレムをつけたりする類のアレかなあと思っていたんですが、しかしそれにしては見たことのないカタチのクルマだなあと思ってはいたんですね。
 ティアナにしてはデザインが攻撃的だし、シーマやフーガにしてはちょっとボディサイズが小さい気がする。
 というわけで調べてみたら、いつのまにかスカイラインがモデルチェンジしていて、しかもなぜかCIエンブレムが日産でなくインフィニティになってた、と。
 スカイラインといえば、R34くらいまでは走り屋さん注目のクルマで、出るたびにクルマ好きの間では大盛り上がりになってたもんですが、今ではこの程度なんですから、時代は変わったものだなあと思います。
 とはいえ、やっぱり「見てみたい」という気持ちも強く、実車を見に行こうと。

 ラインナップは大きく二つになり、2リッタ直4エンジン+ターボの200GT-t、3.5リッタV6エンジン+ハイブリッドシステムの350GT HYBRID。
 2リッタのターボなんていうと、R32あたりに思い入れがある世代には突き刺さりますが、ああいう感じの思想ではなくて、排気量を下げて過給機でパワーを上げて燃費をよくする、いわゆる欧州車に多いダウンサイジングターボの思想です。「元気に走るためのターボ」ではありません。
 試乗車や展示車もハイブリッドモデルのほうが多く、実際に売れてる台数もハイブリッドのほうが多いらしいので、あくまでもメインはハイブリッドなんでしょう。

 スカイラインというクルマは、かつてはいろいろ迷走したことでクルマ好きに知られてるわけで、C110型ケンメリスカイラインでヒットを飛ばしたかと思うと、次のC210型ジャパンでは環境規制のせいで牙を抜かれ、「名ばかりのGT」などとトヨタから云われてしまい、次のDR30鉄仮面スカイラインはレースでの活躍やテレビドラマでの活躍なども含めヒットを果たし、R31型では当時のハイソカーブームに乗ってしまって大失敗し、R32型でGT-Rを頂点とした「ハシリのスカイライン」完全復活となる、みたいな、クルマの歴史の教科書があったらテストに出てきそうなモノがあるわけですね。
 R34以降、V型になってからのスカイラインは、折からのセダン不振の影響もあってさして大きく話題になるクルマでもなくなり、そもそもそれまでのミドルセダンから高級セダンに片足を突っ込んだ、それこそR31のハイソカーを思わせるクルマになっていったので、走り好きの人の興味を引くクルマでもなくなってしまって、今ではすっかり影の薄いクルマになってしまった感は否めません。

 ……などと、そんなこと知ってるよ!みたいなことをなぜ長々書いたかっていうと、この新型スカイラインがまさにその頂点というか、ああ、スカイラインもここまで来たか、という印象が非常に強いクルマだったからなんですよね。
 このスカイラインのハイブリッドのノーマルモデル(要するにアルミとかがつかない標準仕様)で、諸費用入れて500万円。GT-tでも400万円します。
 内装もクラウンかシーマかと見まごうフル装備の内装で、ハイソカーというか、もう高級車そのものなんですよね。
 これ新型セドリックなんですよって云われたら、ああそうですか、という感じ。
 ライバルは国産車だとマークXで、もう価格帯からなにからガッツリ当たるところなんですが、それこそハイソカー時代あたりからスカイライン対マークIIって構図はずっとあったわけですが、マークXは昔から「コロナ以上、クラウン以下」の高級車ラインに組み込まれていて、その中にたまたまツアラーVみたいな走りグレードを入れたらそれが走り好きに刺さったというハナシなんで別に違和感感じないんですが、当時から走りがメイン、高級感とかは二の次だったスカイラインが、マークIIと同じ土俵に上がってきたとそういうことですね。
 つまり、若い走り好きに刺さるクルマではないってことです。
 高価だしMTモデルはないしってのもそうなんですが、じゃあこれが中古で安くなったからと云って、これが欲しいっていうのは、今R34とかツアラーVに乗ってる人ではない、ってことです。

 という前提で。
 上にも書いたとおり、内装はスポーツカーのそれではなく、高級車のそれなので、これがスカイラインでもシーマでもフーガでもかわりません。
 ナビの操作をナビ画面の下にあるスマートフォンのような液晶パネルで行うようになっていて、これがカッコはいいけど実質的にものすごく使いにくいとかそういうのはありますが。
 ネットとつながってメールが見れたりするんだそうな。タブレットをそのまま積んでる感じですね。

 運転席がゆったりしてるのもありますが、そのせいかシートがかなり大柄で、ここだけは妙に日本車離れしています。バケットシートみたいな形状になってるわけではないので、ハードにコーナリングしたりすれば身体は動きますが、そういうクルマではないのでしょう。高速道路を長い間飛ばす、とかなら疲れは少ないんじゃないかな。
 走らせてみると、いかにもハイブリッドらしく、低速トルクがあって力強いのがすごく印象的。モータとバッテリは結構余裕があるものを積んでいるらしくて、ゆっくりアクセルを踏んでいけば、60キロくらいまではEVのまま走行できます。
 EVからエンジンがかかり、ハイブリッドモードになったときの違和感もありません。
 そしてなにより、トヨタハイブリッドにある、回生ブレーキが生きてる感じの違和感のあるブレーキタッチがほぼないのが最高。ブレーキのフィーリングはすごく自然です。

 足回りの固さはそこそこで、いまどきのクルマとしては「ちょっと固いかな」程度。スポーツセダンという心構えで乗ると柔らかいと思うかも、という程度ですね。後ろに乗っててもそんなに不快ではないでしょう。雨だったのでそんなにハードなコーナリングを試したわけではないんですが、曲がりも素直なんで割と楽しめそうです。

 なにより、燃費を稼ぐハイブリッドであるということを意識せず、ギアを低いところに固定して回転を上げていくと、いかにもV6の低い音が聞こえてきます。
 これが結構気持ちいいんですよね。
 マフラーとかでそういう音を作ってるんだと思うんですが、そもそものパワーがあるのでそれにちゃんと加速がついていきますし、飛ばしてるぜ!っていう感じがあって気分は盛り上がってきます。

 ……というところで、乗ってみると意外とちゃんとスポーツセダンなんですよ、コレ。
 もちろんボディサイズは大きいし車重は重いし、本気で走ろうぜってクルマではぜんぜんないですが、たとえば普段はファミリーカーとして使って、一人のときに空いてる高速道路をちょっと過激に走るとか、そういうのだったら相当気持ちいいかと思います。
 燃費も普段使いで10キロ〜15キロくらいだそうですから、金銭的に犠牲にするものもそんなに多くはありません。ハイオクですけどね。

 メーカ曰く、ライバルはBMWやアウディなんかの外車勢なんだそうで、確かに走りっぷりは5シリーズなんかとよく似ていますし、決して劣っていないと思います。
 「走りのスカイライン」というのが、峠道や首都高速なんかで若い人が改造に改造を重ねて走り回ってるあのイメージだと、肩透かしというか、こんなのスカイラインじゃねえ!ってなことになると思うんですが、そういう「気持ちよく走れる高級セダン」が欲しいんなら、これは相当選択肢としてはいいんじゃないかなとも思うんですよね。
 フーガやクラウンに比べてもデザイン的に低い感じで、いかにも早そうなイメージもありますし。
 あとはマークXがどんな感じか、ってとこですが、マークXってまだ乗ったことないんですよねえ。
 今度機会あったら乗ってみよう。

 ……しかしなんでインフィニティマークにしちゃったんだろう。
 日産・スカイラインじゃダメなのかなあ。
 このあたりが、「走り屋小僧のスカイライン」からの明確な脱却の意思なのかもしれませんね。
posted by TAKAMI Yui at 16:14| Comment(0) | 試乗

2014年06月24日

ダイハツ コペン Robe 5MT

 いつの間にかモデルチェンジしていた(というか、いつの間にかなくなってていつの間にか新モデルが出ていた)コペン。
 で、これが結構カッコイイ。
 前の丸っこい、かわいい系デザインも悪くないけど、今度のは正統派オープンスポーツな感じがして悪くない感じ。
 新聞広告に「ダイハツ店どこでも実車があります」と書いてあったんで、これは見に行きたいと思って近くのダイハツへ。

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 展示車かと思ったら試乗車でした。
 しかもCVTじゃなく5MT仕様。
 やるな、ダイハツ。

 この日は雨でしたので、オープンドライブはままならなかったものの、雰囲気は十分掴むことができました。
 エンジンは64馬力のターボエンジン。
 と云っても軽ミニバンに積まれてるタイプの低燃費ターボではなく、いわゆる走行性能のためのターボです。
 なので、低速でのトルクはもちろんですが、高回転までかなり過給するので、たぶん回して走ると燃費は極悪でしょうな。
 そんなことを気にして買うクルマではありませんが、トルクがあるので回さないでも普通に走れます。実用エンジンとしても十分通用する感じ。

 室内に乗りこむと、これが結構広いんですよ。
 もちろんゆったりとはいきませんが、二人乗りでも十分に楽しめる広さ。
 軽枠の中では相当がんばってるんじゃないかな。
 屋根を開ければ広々感はさらに広がるでしょうから、云うことないと思います。
 ちなみにトランクは前に乗ってたビートとどっこいどっこいですが、屋根を閉めた状態ではゴルフバックが入るくらいの大きさです。
 また、そのせいですごくカッコよくなってて、特に屋根を開けたときのバランスの良さはまさにオープン2シータのそれです。旧コペンのまるっこい感じとも違う、ロードスターとかの英国オープンの流れとも違う、イマドキのオープンカーのカッコ良さです。
 やっぱりスポーツカーはカッコよくなきゃいけませんぜ。

 クラッチは軽めですが、ギアはスコスコと気持ちよく入ります。
 ローに入れて走りだすと、これが想像以上にトルクがありますが、割とフラットトルクなので回せば回すだけ加速していきます。CVTのエンジン音に加速がついてこない感じとは大違い。気持ちいいです。
 そして、3500回転くらいを境に、エンジン音が微妙に低くなり、いかにもスポーツカーな感じの音に変わります。もともと3気筒660ccのエンジンとしてはかなり音が低めにチューンしてあって気持ちがいいんですが、回していくとさらに気持ちのいい音になっていきます。
 で、早いかどうかというと、64馬力ですから別にそこまで早くはないんですが、加速感があるので速度域に対しての体感速度がかなり違います。そしてさらに、ステアリングの応答がすごく素直で、足の動きも含めてかなり素直に曲がるので、ものすごく楽しいんですよ。昔乗ってたビートを思い出します。
 で、コーナからの脱出でアクセルを踏むとその分だけ加速するので、ほんとにスポーツカー的な運転が楽しめるんですね。FFだからとか、そういうネガはほとんど消えています。
 こればかりは、たとえば後部座席の広さとかトランクの容量とか、いろんなものを犠牲にできない「スポーティなクルマ」と、スポーツドライブ以外の要素を切り捨てても許される「スポーツカー」の違いだと思います。そういうことからすると、このクルマは軽自動車でありながら、立派にスポーツカーなんですね。

 値段はイマドキのクルマらしく、MTのほうが高くて、必要なもの(ナビとか)をつけていくと200万円くらいになります。
 昔のビートとかもこんな感じでしたから、これはもう「欲しい人が買う」ためだけのクルマでしょう。
 ホンダからビートの後継が出るという噂があって、それが出るとライバルにもなるのかもしれませんが、それまでは唯一無二の存在です。

 オープン2シータということでいえば、マツダのロードスターという素晴らしいクルマもあるわけですが、これは昔に比べればかなり大きくなりました。
 そしてなにより、軽自動車というのは日本の税制上ものすごく優遇されていて、維持費を考えたら2リッタのロードスターとこのコペンは比べるべくもありません。
 もちろん、軽の税金が変わって高くなるなんて話もありますから、これがいつまで続くのかはわかりませんが。

 この手のクルマは、「一台ですべてをまかなう」のではなく、どちらかというとセカンドカーでしょう。
 もちろんこれ一台でなんでも、という人もいるでしょうが、多くはなにかメインに一台クルマを持っていて、遊び車としてオープンカー、みたいな感じにならざるをえないと思います。
 つまりまあ、ある程度余裕がある人のためのものではあるわけなんですね。
 それでも2リッタのクルマをもう一台持つには負担が重いけど、軽自動車なら年間維持費を考えても軽いので気さくに持てる、というのはあるでしょう。
 200万円という値段は、最近の軽自動車としてはわりと普通の値段になりつつありますし、「普段はミニバンだけど、一人で乗るならこれ」みたいな層にはすごくよさそうです。
 もちろん独身とかで2人以上を乗せることがめったになければメインカーとしても十分使えるでしょうけどね。

 このクルマ、軽自動車ですからカタログ上の馬力では64馬力しかなく(とはいえ、過去のカプチーノがそうであったように、実際はもっと出てる気がしますが)、早く走るという単純にそれだけが目的ならば、これを買う意味はまったくありません。
 確かにギアは気持ちよく入るし、音も気持ちいいし、軽自動車としてはかなり早いですが、それと絶対的なスピードというのはまったく別です。

 じゃあこれがスポーツカーというものとは別なのかというと、スポーツカーには「操ることの楽しさ」ってのがあるわけですね。
 クルマを操るという、動きとかをコントロールするという意味合いでは上にも書いたとおりかなり素直ですから楽しめます。これは別に馬力とか関係ありません。バイクで云うなら、原付でスポーツするみたいなもんです。大排気量・大パワーなスポーツバイクならではの面白さも、少ないパワーでバイクそのものを操ることを楽しむ面白さも、両方とも「バイクの楽しみ」であるってことです。

 首都高速とか峠道とか、そういうところでヨーイドンで競争してどっちが勝ち、っていうことだと、このクルマ……というか、軽自動車である必要性はほとんどありませんし、おそらく勝つこともできないでしょう(某クルマ漫画では、カプチーノが峠道で異様に早く描かれたりはしてましたが)。
 ただ、それなりに楽しめる領域で加速して、ちゃんと曲がり、ちゃんと止まるというこの動きは、ここ最近の全高・重心の高いワゴンをベースにした「スポーティな軽自動車」ではありえなかったことです。
 重心の低いクルマはほとんどがエコカーになり、「スポーティな軽」になると重心が高く車重があり、ワンテンポ遅れるCVTで64馬力のターボエンジンを制御する、「カスタム」みたいなグレードのものになるわけなんですが、やっぱり加速したい時の加速感はがんばってるとはいえスポーツカーのそれとはまったく別ですし、曲がるときも重心が高いから「よっこいしょ」という感じで、ワンテンポ遅れて屋根がついてくる感じがあります。
 で、これは仕方ないんですね。
 ワゴンというボディ形状はどうにもならないわけですし、スポーティに仕上げても、やっぱりワゴンである以上、「燃費」というモノがついてまわるわけですから。
 ちょっと雰囲気的にスポーティに見えて、標準車より足が固くてスポーティに走れます、というのが、この手の「スポーティ」の限界なわけですよ。
 逆にあの手のワゴンが、このコペンと同じように走ったとしたら、同乗車は乗り心地は悪いわ狭いわ音はうるさいわ、相当不快だと思います。
 そういう住みわけがあるからいいわけなんですよ。

 で、そんな中でのコペンだからこそ、このクルマには意味があるんだと思うんですね。
 それはもっと単純に、オープン走行がしたい、でもいいし、このスポーツカーな感じを味わいたい、でもいいんだと思うんですが、なんにしてもそういう面白さみたいなものを、軽自動車の維持費で楽しめるようにしたってのは、意味があることだと思います。

 200万円という値段が高いか安いかといったら、やっぱり安くはないでしょう。二人しか乗れない、たいして実用性のないクルマに200万円払える人というのは、やっぱりある意味でちょっと余裕のある人だとは思います。
 それでも、ロードスターとかに比べれば買った後の維持費は圧倒的に安いわけですし、えいやっと思い切って買う、ということがしやすいというのはすごくいいことだと思うんですよね。

 結局、「気持ちいい」ってのがポイントなんだと思うんですよ。
 スポーティな軽ワゴンでは、「よく走るなあ」とは思っても、「気持ちいい」まで行かないと思うんですよね。ハンドルを切って曲がる、アクセルとギアで加速する、ブレーキとギアで止まるっていう作業全体がいかに気持ちいいかに振れるってのは、やっぱりスポーツカー特権だと思うんですよ。
 それが、軽自動車の維持費で楽しめるってのは、ちょっとしたぜいたくとしてはすごく「アリ」だと思います。
 ひさしぶりにすごい欲しい!と思えるクルマと出会った気がします。
posted by TAKAMI Yui at 13:23| Comment(0) | 試乗