2013年01月31日

トヨタ・クラウン 2.5アスリートG

 なんじゃこの顔は!と多くの人が思ったであろう新型クラウンです。

 クラウンといえば、中間管理職くらいのマーク2を卒業したおっちゃんが意を決して買うイメージか、あるいは若いあんちゃんが車高下げてボーボー云うマフラーひっさげて、踏切を渡れずに困ってるイメージか、あるいは個人タクシーとパトカー、みたいな。
 つまりまあ、「保守的高級車」の典型なわけですね。
 それがいいとか悪いではなくて、クラウンというクルマはそうして育ってきたわけで、それでいいわけですよ。
 だって、そういうイメージがほしくて、レクサスもあれば外車も安くなってきたこのご時世にわざわざ「トヨタ・クラウン」の王冠マークを買うわけですから。
 高級車といえば、でかいグリルがあってちょっと威圧感があり、威張った感じがあって、高級をふりまいて走るもの。
 それこそがクラウンに求められていたわけですね。

 で、そういう保守層にウケるスタイル、というのは、ある意味クラウンの命題だったわけです。
 それから外れたクラウンはほぼ例外なく売上的には「ハズレ」扱いになってしまったのも、当然といえば当然の話。
 昔でいえばクジラクラウンとか、最近(といってももう20年前ですが)の14系クラウンの初期型とか。
 保守に「こんなのクラウンじゃねーよ」と思われてしまったらもう終わりなわけです。

 つまり、クラウンは、少なくとも外観や雰囲気に「革新」など求められてはおらず、「革新」をひっさげて登場した2世代前の通称「ゼロクラウン」も、機構や走行性能はともかく、外観に目新しい雰囲気はありません。
 それでも大ヒットになったわけですから、クラウンはそれでいいんです。
 レクサスLSがメルセデスベンツの路線なら、クラウンはセンチュリー路線の、「高級感」を肌で感じさせてくれるものでなくてはいかんわけですね。

 で、これです。

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 いやー、すごいもんです。斬新とかいうレベルの話じゃない。
 「でかいグリルと威圧感」は格段に増しました……が、先代クラウンを持ってる人が「車検だからクラウン買い替えるか」とディーラに行ったら卒倒しそうなデザインです。
 もはや「保守層よさらば」と云いたげなこの凶悪なツラ構え。
 トヨタ内での企画会議でも相当紛糾したのではないでしょうか。
 上の画像はより挑戦的なデザインの「アスリート」ですが、伝統の「ロイヤル」でも、

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 これですからね。なんかボンネット開いてますが。
 かえすがえすも、すごいもんです。

 でも、トヨタはこれを出したわけです。
 それがすごいことですよね。
 クラウンはこういうもの、というイメージを見事にひっくり返しました。ほんとにニーズがあるかは別にして。
 マーク2がマークXになったときはこれほどまでに大きく変わらず、「なんだ、名前変わっただけじゃん」くらいの印象でしたが、これはもうそういうレベルではありません。
 しかもCMに使われるイメージカラー(実際に設定はありませんが)はピンク。
 もう誰を狙ってるのかさっぱりわかりません……が、あのピンク、結構綺麗なのですよね。
 暴走族が適当に塗ったくった感じとまた雰囲気が違います。
 いえまあ、どちらにしても、乗りまわすには勇気はいるでしょうけれど。
 ちゃんとあれも発売予定に入っているというのが凄いです。ある意味トヨタの本気を見た感じ。
 スキモノのお金持ちが意外と選ぶんじゃないかな、コレ。

 これ、よく云われるように、その押し出しの強さから「車高落としてマフラーボーボー」タイプの若者を狙ったとか、その手の若者が飛びつくとか云われてますが、それでもどうかなあ。
 この手の若者も、ほしいのはやっぱり「保守的高級感」なんじゃないかなあと思うんですが。
 クラウンっぽさが消えたこのクラウンに、中古車がその手の若者が買える値段になる10年後くらいに憧れられるかというと結構微妙かも、という気がしないでもありません。

 しかし、それ以上に、いままでクラウンを乗り換えていたような年配の方からすると、もはや生理的嫌悪感を覚えるくらいのデザインなんじゃないかという気もしますから、それに比べたら些細な問題でしょうし、その手の若者の多くは中古車になってから買うでしょうから、むしろこちらのほうがオオゴトですね。

 グリルが一体化した、いわゆるワッペングリルなんでしょうが、そのグリルを貫くであろうバンパが存在せず、グリルにナンバープレートが直接存在しているのがなによりも大きくて、なんとなく表情として「大口をあけている」ようにも見えます。
 これが「威圧感」につながっているのでしょうけれど。
 なので、ナンバープレートの上部ラインに、ボディ同色のラインが入るとだいぶ雰囲気かわるので、そういう社外品パーツが出るか、あるいはこれがほんとに販売不調ならそういうデザインに変わるかもしれませんね。
 実際、このナンバープレートのところにラインを一本入れてみると、それだけでものすごく「普通」の、いかにも「クラウンだなあ」ってなデザインになります。

 ところが実際に出てきたのはこれ。
 クラウンがどうとかではなく、国産車でこんなデザイン見たことないです。
 外車ではアウディあたりに似たような処理がありましたが、ここまでダイナミックではなかったですね。あえていうならブガッティ・ヴェイロンとか。
 デザインで云うなら、ゼロクラウンなんか比較にならないくらい「革新的」です。
 今までの「保守クラウン」をばっさり切り捨てたと云っても過言ではありません。
 ロイヤルのほうはまだ、グリルの食い込みが少ない分だけ保守的に見えなくもないですが、それも比較の問題ですね。

 逆にリアデザインはおとなしく、実に普通。
 マジェスタの「なんかカローラみたいだなあ」感はさすがにないですが、なんというか、ほんとに普通です。

 で、ですね。
 このデザイン、見たときは「マジかよ」と思うんですが、見慣れてくると、「結構いいんじゃない?」と思えてくるんですな。
 いえ、ブスも見慣れれば、的なことではなく、見ていると結構うまい処理がされているなあ、という。
 バンパのラインで切れ込みが入っているので、いちおうそこに表情がありますし、色にもよりますが初見で感じた違和感は結構すぐに落ち着きます。
 ただ、隣でディーラの人と話をしていたおじさんは「このデザインがなあ」を繰り返していたので、やはり慣れない人には徹底的に慣れないかもしれません。

 と、外観デザインばかりの話になってしまいましたが。
 インパネも割と革新的というかずいぶん近代的になりまして、ナビ画面の下に液晶モニタがもうひとつあり、エアコンなどはこちらで操作します。
 エアコンとナビが一体化しているとかえって使いづらいですから、これはいいかも。
 でも、使い勝手ってことでいえば、ブラインドタッチで操作できる普通のスイッチのほうがやっぱりいいかもですね。
 こういう風にボタンがどんどん液晶パネルになり、クルマの中からスイッチがどんどん消えていくのですなあ。

 トランク、後部座席の広さは申し分なし。
 このあたり、さすがパッセンジャーカーです。
 トランクスルーがないみたいですが、それは仕方ないのかなあ。

 乗ったのはアスリートの2.5Lモデル。
 足回りはロイヤルより若干硬いとのことでしたが、云われなければ分からない程度です。
 ほかは基本的に細かい装備以外はほとんど同じようなので、ついてる装備と外見でロイヤルかアスリートかを選ぶくらいでも問題ありません。
 なんとなくアスリートのほうが査定は高そうですが(イメージです)。

 ただ、車重があるからか、エンジンは2.5リットルはちょっと非力な印象。
 スピードに乗ってしまえばストレスないのですが、ゼロスタートから60キロくらいまでのところは、この手のクルマのイメージからすると少し大きめにアクセルを開ける感じはありました。
 当然ですが流れに乗れないほどではないので、よほどハイパワーを求めるのでなければ、2.5リットルでも十分だとは思いますが。
 2.5リッターならレギュラーガソリンでもいいとか、結構メリットも大きいですしね。
 サイズは旧型と変わっていないらしいので、取り回しもまあ、普通の大型車並み。
 見切りがいいのは最近の国産車のいい点です。それまでセダンに乗っていた人であれば戸惑うことはありません。

 全般的には「よくできたクルマ」ですから、クラウンを乗り継いでいる人が乗り換えてもなんの違和感もありませんし、グレードアップ感は感じられるでしょう。
 あとはもう、ほんとにこのデザインが許容できるかどうかですね。
 わたしはこれ、結構好きでして、これの白なんかすごくいいと思うんですが。
 少なくとも先代よりもずっとカッコよくなったと思います。

 そしてなにより、クラウンを変える!という強い意志のもとでこれを産んだんだとすれば、そのトヨタの英断もすごいと思います。
 アルファードやヴェルファイアを「高級車」として売り出すのがいわゆる従来の「保守高級路線」なのだとすれば、このクラウンはまさに「革新」でしょう。
 ほんと、がんばってほしいです。
posted by TAKAMI Yui at 16:07| Comment(0) | 試乗

2012年11月22日

BMW 320d BluePerformance

「日本はハイブリッド、欧州はディーゼル」というのが一昔前の自動車ジャーナリズムでよく使われていたタームでして、今はこれに加えていわゆるロープレッシャのダウンサイジングターボが加わってきているのでかなりいろいろ混じってきているのですが、いまでも欧州ではディーゼルが優位なのはあまり変わらないようです。
 EVなんてのもありますが、これはまあまだまだですね。

 フランス・パリの渋滞とかは有名ですし、日本は渋滞ばかり、欧州は渋滞がない高速巡行ばかりと簡単に割り切ることはできないのでしょうが、アウトバーンの存在や国境を越える長い道路など、やはりハイスピードレンジでの長距離走行が日本よりも多いのはままあるでしょう。
 ということになると、ストップ&ゴーには強いハイブリッドも、ハイスピードで走り続けるような状況では普通のガソリン車と変わらなくなってしまいますから、欧州ではやはりディーゼルやロープレッシャターボのようなもののほうがいい、ということになるのだと思います。

 ということで、欧州では古くから使われていたディーゼルエンジンですが、日本ではどこぞの知事が十把一絡げに悪者扱いしてしまったせいで、一時期日本の普通乗用車からはほぼ完全に姿を消します。
 ディーゼルエンジンが得意とする、重量級のボディを持つSUV(当時の云い方をすれば「クロカン4駆」)やワンボックス車までガソリンエンジンになり、この手のクルマは概して燃費が悪いモノになってしまいました。
 まあ、当時のディーゼルエンジン車の一部は、確かに真っ黒いススを吐きながら走っているようなクルマも少なくありませんでしたから、やむなしなところもあったのでしょうけれどもね。

 最近ではそういった厳しい規制を乗り越えて、ディーゼルエンジンの復権が始まりつつありますが、国産車ではまだまだ、恐る恐るといった状況です。
 そこに目を付けたのが(?)、昔からディーゼルエンジンを普通に使ってきた欧州メーカで、メルセデスがW211Eクラスでブルーテックというディーゼルエンジンのモデルを入れてきたりしていまして、その潮流の中でBMWもついに新しい3シリーズでディーゼルのモデルを正規輸入することになった感じですね(正確には、アルピナブランドでE90時代にD3ビターボというモデルが限定で正規輸入されましたが)。

 この3シリーズ、コンベンショナルなレシプロガソリンエンジンモデルとディーゼル(ともに過給機付き)、さらにはハイブリッドまで用意されているという、表向きかなりエコ指向になりました。
 しかもハイブリッド以外のモデルは4気筒のロープレッシャターボで、「シルキーシックス」などといわれていたBMWの直6エンジンは完全に裏手に回っている感じになっています。
 高級車としてのCクラス、スポーツセダンとしての3シリーズ、という区切りがなんとなく3シリーズに抱いていたイメージだったのですが、このイメージを捨ててしまったのかなと思ったんですね。
 まあ、それはそれで時代が求めることですし仕方がないのかなと。
 で、気になったので乗ってきました。

 スタイルはE90よりもE46に近い、すらっとしたボディになりました。
 ヘッドライトまわりとかも結構攻撃的で、E90とはまた違った迫力はあります。
 ボディが横に長いので、こういうデザインでもまとまって見えますね。
 E90よりもボディサイズはさらに拡大してるみたいです。

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 試乗車はディーゼルのノーマルモデル。
 「Modern」「Sports」「Luxuary」と、伝統の「Mスポーツ」といろいろとバリエーションがありますが、Mスポーツ以外は外観と内装が違うだけなので、好きに選べばいいみたいですね。
 Mスポーツだけはタイヤサイズが19インチになったりかなりスポーツ志向に振られているようです。でもさすがに19インチはオーバースペックじゃないかなあ。
 E46のMスポーツは17インチでしたが、それでもタイヤが高くて大変でしたからねえ。
 ノーマルモデルでもHIDとかナビとか、欲しいものはほとんどついてきますので、これで十分なんじゃないかな。

 エンジンスタートはプッシュボタン。
 エンジンをかけると驚くのは、音が以外と入ってくること。
 メルセデスW211のディーゼルに乗った時は、室内にはほとんど音が入ってこず、ボンネットを開けてはじめて音が聞こえるかな、程度だったので、これは意外と言えば意外です。
 当然その音は、イマドキのディーゼルっぽい「カラカラカラ」という音ですが、昔のディーゼル車のような重苦しいガラガラ音ではないですし、うるさくて仕方がないというほどではありません。
 E46でも室内にエンジン音が入ってくる感じはあって、これはスポーツイメージを高めるためということだそうですので、これも同じ発想なのかもしれません。
 アクセルを煽ってみると、その音は当然大きくなり、室内に入り込んできます。

 そのまま発進してみる……と、まずはその絶大なトルクに驚きます。
 これはW211でも感じていたことではあるのですが、ただでさえトルクの厚いディーゼルエンジン、さらに2リッタとはいえ過給されているので、とにかく速い!です。
 アクセルを踏んでいくと、あっという間に高速道路の巡航速度まで加速していく感じで、これはもしかしたらE46の330iより速いかも。
 タコメータのエンジン回転数はほとんど回っていないのがガソリンエンジンに慣れていると不思議に思えますね。
 ミッションはなんと8AT(!)で、これもまた加速のよさにつながっているのかも。

 足回りは、以前乗っていたMスポーツのような硬さはなく、「ちょっと硬いかも」という程度の、いわゆるイマドキの乗用車の硬さです。
 これなら同乗者も不快感は覚えないのではないかな。
 これもやはり、Mスポーツにするとちょっと硬すぎるかも。
 操作系では、ステアリングのほどよい重さが久々に乗る欧州車ですね。これくらいのほうが高速走行では疲れなくていいです。

 街乗りで信号のゴーストップを繰り返していると、さっきまで車内に響いていたエンジン音がさほど気にならなくなります。
 つまりまあ、短い試乗の間で慣れてしまう程度の音だった、ってことですね。
 そこからぐっとアクセルを踏むとやはり音は室内に響きますが、ディーゼルののんびりしたイメージとは不釣り合いなスポーツカーチックな音になってくるのが面白いです。
 つまりまあ、ディーゼルになろうがターボがつこうが4気筒になろうが、BMWならではの「駆け抜ける喜び」はまったくなくなってない、ってことですね。

 一回り乗りまわして、燃費計で見ると、ハードに乗りまわされている試乗車で14キロの表示。
 街乗り14キロってかなり凄いです。
 E46は街乗りで5〜6キロ程度でしたからね。
 排気量の違いはあるとはいえ、イマドキのエコ技術を垣間見た感じでした。
 高速道路に上がっても、100キロ程度ならエンジンがほとんど回らないで巡行できるので、燃費は逆によくなりそうです。

 日本で欧州車を買うことを考えると、どうしても「燃料がハイオク指定」というのがネックになります。
 メルセデスやBMWならそれでもいいのでしょうけれど、VWみたいなクラスになると、たとえ国産コンパクトカーと同じ燃費をたたき出したとしても、1リットルあたりおよそ10円高くなるわけなのでそのメリットが消し飛んでしまうのですね。
 だから、コストパフォーマンスを売るよりも、「これだけの付加価値があります」って売るしかなかったわけですけど、このディーゼルならレギュラーガソリンよりもさらに20円近く安い軽油が使えるわけですから、これはもう文句なしに経済的です。

 さらに、ガソリンエンジンの320iとこの320dでは、価格差は20万円しかありません。
 使い方にもよりますが、長距離を走る人なら、結構簡単に元がとれてしまうのではないかと思います。
 この手の比較で「元が取れる」ケースってめったにないので(それはおそらく、プリウスのようなハイブリッドカーでもそうでしょう)、あの音がどうしても気になるとかディーゼルが生理的に嫌とかでなければこっちですね。
 ハイブリッドはガソリンエンジンから200万円以上高いので、これはある意味特殊用途というか、元が取れるとかいうレベルのハナシではないです。
 まあ、このアクティブハイブリッドはE90の335iと同じエンジンにハイブリッドシステムを追加したものだそうなので、燃費がどうしたとかそういうことではなく、335iのようなスポーツセダンを求めて買うもの、なのかもしれません。

 ということからすれば、今回の3シリーズの本命はディーゼルなのですが、悩ましいのは320i、つまり普通のガソリンエンジンモデルにはMTが設定されているのに、ディーゼルの320dはATだけになってしまうことです。
 320dにMTが設定されれば、あの厚いトルクをMTで操れることになるので、これは面白いと思うんですけども。
 とはいえ、今回のモデルでもちゃんと一応MTを入れてくれるところがありがたいところです。
 選択肢があるのとないのとでは大違いですから。

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posted by TAKAMI Yui at 13:28| Comment(0) | 試乗

2012年11月21日

メルセデスベンツ CLSシューティングブレーク

 以前も書いた、CLSのワゴン。
 正式名称は「CLS シューティングブレーク」。
 あまりにカッコよさげなんで思わず見にいってしまいました。
 あ、乗ってはいません。さすがに試乗車はまだなかったので。

 うーん、問答無用でカッコいいぞ、これ。
 荷物は積めないだろうけど、見て「うわ、いい!」と思わせる力があります。
 質実剛健をよしとするメルセデスファンからは受け入れられない存在でしょうけど、こんなのもアリかな、という。
 昔ながらのロー&ロング&ワイドな雰囲気と、低くスラントされたリアエンドの処理がすごくいいです。

 もともとこの「シューティングブレーク」って、「狩りに使うワゴン」ということだそうで、欧州のお金持ちが趣味で狩りにいって獲物をとったとき、やはりワゴンじゃないと荷物が載せられないと。
 普通の人ならそこでステーションワゴンのラインナップから選ぶのでしょうけれど、そこはお金持ち、普通のセダンやら場合によってはクーペやらを無理やりワゴンに仕立て上げさせるわけですね。
 ネットなんかで、ポルシェやフェラーリとかを無理やりワゴンにしてあるような写真を見かけることがありますが、あれがまさにそういうものなわけです。
 まあ、お金持ちの道楽ですね。
 だから、荷物がいっぱい積める!とか、そういうことは二の次。クーペやセダンより若干積めればいい、みたいな。
 これもある意味、欧州のブルジョワ文化のひとつかもしれませんね。

 というのが由来の乗り物なので、これはこれでひとつのあり方なわけですね。
 だからこれをもってして、「荷物積めない!」とか「使い勝手が悪い!」とかっていうのはナンセンスで、そのカッコに惚れたお金持ちが、セダンよりちょっと荷物積めればいいや、みたいな感覚で乗りまわす乗り物なんですな。
 実用性重視ならEクラスのワゴンがあるからそちらをどうぞ、みたいな。
 そうでもなければ、わざわざ居住性に劣るCLSをワゴンに仕立てる必要なんかありません。
 ものすごく贅沢な乗り物なんですよ、コレ。

 いちばん下のCLS350でも諸費用入れて1000万円越えですから、確かにこれはもうお金持ちの趣味車です。
 中古車が買いごろになるまでは逆立ちしても買えませんが、中古車が買いごろになる頃には古さが目立つデザインになってるでしょうし、ある意味でほんとにお金持ちが新車で旬のうちに乗りまわすためだけのクルマなのかも。
 でも何気に、セダンCLSが4人乗りなのに対してこちら5人乗りなので、それとなく実用性もアップしてます。

 しかしまあ、こういうものがメルセデスみたいなところから出てくるようになると、昭和〜平成初期に日本車が通ってきた道というのは必ずしも間違いではなかった、ということですね。
 カリーナEDみたいな、一応4ドアだけどやたらと背が低くて座席も狭い「4ドアクーペ」みたいなものとか、アコードワゴンやインプレッサスポーツワゴンみたいなカッコは一応ワゴンだけど積載能力はあまりありません、みたいな感じのクルマって既にありましたものね。
 自動車ジャーナリズムが「欧州はこんな非実用的なクルマを作らない! 見習え!」と蛇蝎のように嫌っている存在ではありましたが、今彼らはこのCLSやシューティングブレークを見てどう思っているのやら。
posted by TAKAMI Yui at 22:06| Comment(0) | 試乗

2012年07月10日

ホンダ・N BOX 追記

 前に書いたホンダのN BOXですが、ようやく実際に乗る機会がありました。

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 試乗車はカスタムのG Lパッケージ。
 電動スライドドアだのなんだのといろいろ装備が付いてやたら豪華な仕様ですが、エンジンはノンターボのもの。
 ターボエンジンは規制値いっぱいの64馬力ですが、NAは58馬力と、カタログでは6馬力落ち。
 1トン近い車重をこのエンジンでどれくらい引っ張れるのか?というのが気になっていたので、むしろこのNAモデルに乗ってみたかったのですよ。

 で、いざ動かしてみた……ら、案の定、ハコに限りなく近いデザインと、あちこちに張り巡らされたミラーのおかげでボディの見切りはすごくよくて、ほぼ死角を完全に消しています。
 あんまり運転しない、買い物と駅までの送迎にしか使わないという人にはコレはすごくいいんじゃないかな。
 取り回しで戸惑うようなことはほぼないかなと思います。

 運転感覚としては、やはり重心が高いので、コーナー時にやや上のほうが引っ張られるような感じがありますね。
 Dほど顕著ではないものの、このへんは軽1BOXに近いです。

 そして問題の動力性能。
 コレ……正直なところ、やっぱりちょっと鈍重です。
 ゼロからの加速では、アクセルを踏んでいってもエンジン音ばかり大きくなって、実際はそのエンジン音ほどに加速してない、という現象が起こります。
 エンジンが非力というのももちろんあるんでしょうけど、CVTの影響もあるのかなあ。
 もちろん非実用的というほどに非力ではないんですけど、よく雑誌なんかで書かれているような、「NAでも十分」というのはちょっとどうかなあってところかも。
 たとえばこれに人がフル乗車したらとか、荷物をいっぱいまで乗せたらとかってのは極論だとしても、高速道路とかの合流ではもう少し余裕が欲しくなると思います。
 じゃあターボならいいのか、というのは乗ってないんでわかんないんですけど。
 やっぱり車重が重すぎるんではないかなあ。
 コンパクトカーと同じくらいの重さなのに、排気量は半分ですからねえ。

 ただし、ほんとに町中しか走らないというニーズもあると思うので、そういう人には「これで十分」かと。
 その場合、カスタムでなくてもいいと思います。普通のモデルで十分。Lパッケージも要らない。
 10万円高でスライドドアが自動になるのは魅力って人は多いでしょうけど、なくても困りません。
 キーレスとか電動ミラーとか、「ちょっと欲しいな」っていうようなものは普通のモデルでついてますしね。
 それでいてウリである広さは変わらないわけですし。

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posted by TAKAMI Yui at 00:14| Comment(2) | 試乗

2012年07月07日

メルセデスベンツ・ML350 4MATIC ブルーエフィシェンシー

 モデルチェンジしたばかりのMクラスです。
 ヤナセからデビューフェアのDMが来てて、久々にデザインがツボったのでちょっと見てきました。

 まずデザインは、先代までの「4駆です!」というハイト系のものから、少し屋根がスラントした感じのスマートなイメージになりました(実際に少し低くなってるそうです)。
 ヘッドライト周りのデザインもあいまって、かなり全高が低く見えるので、見た感じのカッコよさは上がったかな、という印象。先代もカッコよかったですけどね。
 CLSもそうですが、ここ最近のメルセデスはデザインをかなり重視してきてるなあという印象があります。

 インパネデザインも高級な感じになりました。
 それでもどこになにがあるのかはちゃんとわかるあたりがメルセデスデザインだなあという感じはします。
 ただ、いただけないのが例のハンドル横のコラム式ATシフトレバー。
 国産車のウインカーの位置にあるので、知らない人が乗ったら絶対間違えて操作すると思います。
 もちろん、たとえば走行中にRに入れたって実際にはギアは入らないようにできてるんでしょうけど、だからいいってもんじゃないよなあ。
 ここにシフトレバーを移したことでコンソール周りが広くなってるとのことですけど、単にシフトレバーがないだけでそこにはなんにもないんだから、こんなところ広くしたって仕方ないと思うんですが。
 これもメルセデスデザイン重視の仇花なんでしょうか。

 屋根は低くなっていて、試乗車にはさらにツインサンルーフがついていましたが、天井の低さに起因する圧迫感はありません。
 むしろサンルーフのおかげでものすごい開放感があります。
 このへんは空間の使い方が巧いのかも。

 で、ここしばらく国産車ばかり乗っていたので、久しぶりに輸入車に乗ると、シートのよさは際立ちますね。
 普段がトラックの安物シートなんで余計に。
 サポートもしっかりしてて、クッションもほどいいので、疲労感は少なそうです。

 いざ走らせてみると、2トンを超える車重に300馬力以上あるので必要にして十分ではありますが、300馬力オーバーのエンジンだと思ってアクセルを開けると、思ったよりも加速はよくないです。
 このエンジンにしては少しオーバーかな?ってくらい踏んでやると、ごわーと一気に走り出す感じ。
 アクセルが重いのもありますけどね。
 ただ、スピードに乗っちゃえばものすごく快適に走れますし、中間加速もなかなかのものです。
 9月に出るというディーゼルエンジンのほうだともうちょっとトルクがありそうなので、こっちのほうがいいかも。

 感心したのは、クルマの大きさの割には車体感覚が掴みやすく、死角が少ないことでしょうか。
 とかくこの手のSUVは死角が多く、かつ車体の4隅が掴みづらいものですが、このML350に関してはそれはありません。
 幅はカイエンとほぼ同じ、1900ミリオーバーなのですが(つまりキャンピングカーであるDよりも横幅がある、ということです)、それを意識するのは物理的に狭い道に入ったときくらいで、普通に走っているときにはそれは意識せずとも車体の隅がどこにあるかはわかります。
 そんなのアタリマエじゃん、というとそうでもなくて、幅広のクルマだと、たとえば二車線の道を走っていても自分のクルマが車線のどの位置を走ってるのかがわかりづらいことが多くて、外から見るとかなり内側(つまりセンター寄り)を走ってる、ということは結構あります。
 もうちょっと外側に寄れるんですが、外側に寄るとコスってしまいそうで怖い、という思いが働くんですね。
 なんですが、MLに関してはそれはほとんど心配ないです。感覚的に「ここを走ってるから、このへんまで寄せられる」というのがわかるようになっています。
 これがメルセデスのすごいところですね。デザイン重視にしても、このへんは犠牲にしてません。
 
 燃費は街乗りで7キロくらいだそうです。
 2トンを超える大排気量SUVだってことを考えれば相当立派。
 アイドリングストップ機能がついていて、これがかなり燃費に貢献してるらしいのですが、このアイドリングストップ機能も動作が自然で、エンジンがかかった、止まったを意識しないで使えます。
 値段がまったく違うので比べても仕方ないのですが、ダイハツ・ミライースやフィアット・500についていたアイドリングストップのように、エンジン始動時にいちいちセルを回す音が鳴り響く、みたいなことはないです。
 ディーゼルだとトルクで走れる分もう少し燃費はよくなりそう。

 で、価格はML350ブルーエフィシェンシー(ガソリンエンジン)が750万円、ML350ブルーテック(ディーゼルエンジン)が790万円。
 いやはや、さすがにお高い。
 コレにキーレスや電動リアゲート等がつくコンフォートパッケージ(これはつけたほうがいいと思う)あたりをつけてみると、およそ900万円くらいになります。
 やはりカイエンとあまり変わらなくなりますね。あ、ちなみにAMGのML63が1490万円です。スペックは段違いなので買える方はこちらを。うらやましい限りです。

 でも、40万円の差額でディーゼルエンジンが選べるなら、ディーゼルのほうがいいかなと思います。
 900万円もする高級車を買えるんであれば40万円くらいの差額はたいしたことないでしょうしね。
 差額を燃料の差額で取り返すことはなかなか難しいでしょうけど(それはハイブリッドと同じです)、実際に乗ってみるとガソリンエンジンでは発進時だけややトルクが細いので、使い勝手もディーゼルのほうがいいんじゃないかな、という意味で。

 でも、いいクルマですよ、ほんと。
 新しいモデルでも、メルセデスの設計思想はまだ生きてるなあってのを感じさせてくれます(シフトレバーの位置以外は)。
 使い勝手もいいしスタイルもよくなったし、もし買えるんであれば結構本気で欲しい感じはするけど、でもコレを買えるくらいの予算があるならMTがあるカイエンかなあ。

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posted by TAKAMI Yui at 18:48| Comment(0) | 試乗